ねじ（金属・部品）業導入事例：ねじ製造・卸売｜ケーエム精工株式会社様　システム導入事例

業務プロセスや部門ごとの損益が可視化。
現場の意識改革と、経営の迅速な判断を実現。

導入の背景

拠点の増加に伴い、正確な生産・在庫管理が困難に。

ケーエム精工株式会社は1972年設立のねじメーカー。自動車、建築、住宅分野向けなどにナット、冷間圧造パーツ、ドリルねじ、ドリリングタッピングねじを製造・販売している。「技術と安心で日本のねじ業界をリードする」という経営理念のもと、全社一丸となって徹底した品質管理を展開。早くから工程・在庫管理、受発注システムなどのIT導入を積極的に進め、顧客の信頼を築いてきた。

そういった中、生産品目は約2,000アイテムとなり、事業拠点は東大阪の本社と工場、三重県の工場、東京都墨田区の営業所と4拠点になるまでに業容が拡大。それらの成長に伴い、各拠点での生産・在庫管理における正確なデータの把握が困難になったり、4拠点間のネットワーク接続におけるタイムラグが生じたりしていた。そのような課題を解決し、より経営のスピードと正確性を高めるために基幹システムの再構築を決めた。

導入の決め手

現場の意見を取り入れ、業務に最適なシステムを構築。

システム選定にあたっては、現場が使いやすいものにすべく、社内の意見、現場作業者の見解を総合的に判断。機能やカスタマイズ性の面からアイルの基幹業務システム「アラジンオフィス」の導入を決めた。ねじ業界に特化した機能がパッケージ化されていて、かつ独自のカスタマイズも加えられる点も決め手の一つだったという。

導入決定後は綿密な打ち合わせが繰り返し行われ、現場サイドに則した独自の機能やアイディアが盛り込まれたシステムが作り上げられていった。北井敬人会長は「他のシステム会社より改善等のサポートが細やか。本当にフットワークよく作業を進めてくれた。『アラジンオフィス』には満足している」と話している。

導入の効果

納期遅れが大幅に削減。

「アラジンオフィス」は生産管理において、ドラム缶ごとの進捗をリアルタイムに確認できる機能を搭載している。これは現場作業者からの声を反映させたもので、個数単位での管理よりもさらに現場のものづくりにマッチした、精度の高い生産管理を実現する。拠点間でのネットワーク接続時に生じていたタイムラグも解消。

結果として納期管理レベルが大きく向上し、顧客への納期提示にブレがなくなった。具体的にはそれまで週40件程度あった納期遅れが、週1件程度に減少した。その成果として、大口顧客より「納期遵守率100％達成」に対する表彰も受けている。

このほか、旧来システムでは3人体制が通常であった営業アシスタントが、新システム導入により2人ないし1人でもオペレーション可能になった。システムのデータを同期化する作業も不要になり、効率化へとつながっている。

ハンディターミナル連携で更なるシステム強化。

これらの改善により、営業部員が在庫の安全率を考えて納期回答することがなくなった。月次資料において在庫数量がブレることなく、収益の把握が精度を増し、経営判断が容易に。また、より正確に顧客情報の把握ができるようになった。正確なデータを社内で共有化することで業務改善を実現している。

「アラジンオフィス」の初期導入から数年経過し、その後、更なる機能強化と全般的なハードの入れ替えも随時行っている。強化内容はバーコードを利用した工程実績データ収集、ハンディターミナルによる出荷データ作成等と多岐にわたっている。「市場からリアルタイムの情報が求められる中、業界内で先駆けて業務効率化・管理体制強化を実現してきた」と総務部仲嶋氏は語った。

今後の展開

システムや機器の導入で企業力向上を目指す。

今後の展開としては更なるシステム活用を構想にあげている。より多くの品質データ（ミルシートや各種検査データ等）を共有システムに取り入れたり、社内の在庫数量・生産数量・生産状況を顧客がインターネットを通じて検索できるようにしたりするという考えがある。現場にもより多くのシステムを導入し、書類の作成や検索の効率向上も図る予定。

また、2013年には三重工場に新事務所棟を新設し、品質保証の体制強化を図る。新たに引張試験機、塩水噴霧試験機を導入し、従来、外部に依頼していた試験を自社で行なえる体制を整え、新規部品の立ち上げのリードタイム短縮に繋げる。事務所棟の新設に伴い、全拠点を結ぶTV会議システムの導入も視野に入れている。

このようにシステム改良を進め、ハード・ソフトの両面から企業力強化を追及し、さらに経営的効果を高めていく方針である。

※記事中の固有名詞・肩書などは、記事作成当時のものです。